真空ポンプのメンテナンス方法(ロータリーポンプの油交換)

真空ポンプは色々な種類があります。
特に真空ポンプのシール材として油を使うロータリーポンプはメンテナンスが欠かせません。
そのメンテナンス方法について紹介します。

 

ロータリーポンプは大気圧から10Pa程度の真空まで引くことができるポンプです。
ロータリーポンプの油は使用していると劣化してきます。
したがって1年に1回程度の油交換のメンテナンスが必要となります。

 

油交換を行う前に、まずポンプを停止します。
このとき、吸気口は大気圧になっていることを確認してください。
もし吸気口が真空状態だと油の逆流が発生し、真空ポンプにつながっている装置が油で汚染されてしまいます。
次に分電盤を操作し、ポンプを切り離します。
これはメンテナンス中に誤って電源ボタンを押してしまってもポンプが動かないようにするためです。
電源を止めてから10分〜20分待ち、油が完全に冷えた状態で交換作業を行います。
オイルパンをポンプの下におき、ドレーンバルブから古いオイルを抜いていきます。
油が完全に抜け切ったあと、新しいオイルを入れるのですが、ここで注意すべきことがあります。
それは、以前使っていたオイルと同じ種類のオイルを入れる必要があることです。
塩素など反応性の高い特殊な気体を排気するときにはフォンブリンなどフッ素系のオイルを使います。
もしフォンブリンを使っていたロータリーポンプに通常のオイルを入れてしまうと、ポンプの中に残ったフォンブリンが固まってしまい、ダマになってしまいます。
ダマになったオイルはロータリーポンプのシーリング性能を著しく悪化させてしまいます。
特に中古のロータリーポンプを購入し、それまで使用しているオイルがわからない場合は特に注意が必要です。

オイルは注入口から注いでいきます。
このとき、ドレーンバルブがしっかりとしまっていることを確認しましょう。
締め方が甘いとバルブからオイル漏れが発生してしまいます。
ロータリーポンプにはオイルのレベルゲージが付いていますので、オイルの液面が最小値と最大値の間に収まるようオイルを注入していきます。
オイルが適切な量まで注入できた後、注入口をしっかりとふたをすれば完成です。

 
このままスイッチを入れれば使うことができるようになりますが、もし3相交流を使っていて、ポンプから電源ケーブルを外していた場合は注意が必要です。
結線を間違えるとポンプが逆回転し、吸気口から排気され、排気口から吸引されることになってしまいます。
そのため、最初はすぐに電源が切れる状態でテスト運転をすると良いです。