今回は、弊社でもよく扱うことが多い、ターボ分子ポンプのことについて書きます。
ターボ分子ポンプは機械式の真空ポンプの一つであり、金属で生成されているタービンを有している回転体がローターにより高速で回転し、その結果気体の分子を弾いて飛ばすことでガスを排気するという仕組みを持つものがターボ分子ポンプです。
こうした仕組みが採用されている排気の方式は運動量輸送式とされることもありますが、今日においてはあまり呼称の際に使われることはありません。
歴史は1912年から始まっており、ドイツの発明家により機械式の高真空ポンプの元となる分子ポンプが考え出され、その後技術進歩や知識の蓄積に伴い1955年に同じくドイツの発明家がタービンを持ち合わせているターボ分子ポンプを考え、1958年には第一作目が商品化されました。
翼が斜めに配置されていることから高速回転を実行させた際、空気を吸い込んでから排出するまでの間に差を持たせることができ、圧力差となることでこれまで対応することができなかった様々な事例に活用可能になったというメリットがあります。
この特殊なメリットが、今日の半導体の発展や新しい技術の発展に利用されており、今後もさらに利用される機会は広がると考えられています。逆を言うと、ターボ分子ポンプがなかったら現在の発展はなかったかもしれないと言っても過言ではないかもしれません。それほど大きなメリットを持っていればこそ多くの場所で利用されています。
利用するデメリットとしては、どうしても高価だという事と、使用用途や環境によって故障することも多く、現在も多くのメーカーが改善のための開発を行っています。
また、気体分子が持っている速度により排気が出ていく速度に差異が生じることから、ヘリウムや水素といったような軽いものには速度が落ちてしまうという特性があるのがデメリットという考えもあります。
ターボ分子ポンプは高速回転で運転を行うので、大気中では動翼にかかる負担(抵抗)によって破損する恐れがあり、ターボ分子ポンプはある程度の真空中で使用する必要があります。
そのために、通常はロータリー真空ポンプ等である程度の真空状態まで容器内を到達させてターボ分子ポンプを使用するので、単体で使用する考えは通常行うことがありません。
近年はますます技術力が高くなっていることから、破損や故障に見舞われる機会は随分と減ってきているものの、使用中に高い真空状態から低くなった時に変化が急激なものだとターボ分子ポンプが壊れてしまう可能性があることは念頭に置く必要があるので、しっかりとした構造概念を作る必要があります。
歴史も古いターボ分子ポンプですが、現在は成熟期に入っているとも言え、各メーカーや工場などは基本設計を元にして更に手軽かつ利便性が高いものを生み出そうとしています。
ターボ分子ポンプが社会に与える影響は経済的に大きく、半導体製造、分析、FPD製造、太陽電池開発など現在の進歩に対する様々な用途に対し利用されています。
その様な背景もあり、その進化によっては今後世間に向けて販売される真空を利用した製品単価が大きく割安になる可能性も含んでおり、今後の開発に大きな期待がよせられています。