真空を得る用途で使われているポンプである真空ポンプ。今回ご紹介するロータリーポンプは、吸気口と排気口とポンプの3つから構成されており、真空ポンプの中で最も一般的な物となっています。
ほとんどの場合において電気モーターを動力源としており、油回転真空ポンプやRPとも呼ばれています。
このポンプは、真空ポンプ油を使う事によって回転部の動きを滑らかにしたり、真空封止して気密性を高める事で高い排気性能を発揮していく物です。1900年代初頭に発明されてから機械工作技術及び使用する油といった物の発達と共に大きく進歩をしていきました。
その特徴としては、値段が約10万円~30万円と比較的安価である事、またコンパクトである為に据え付けが容易である事が挙げられます。さらに、大気圧から高真空領域まで有効に作動出来るポンプの中で最も安定した排気性能が得られる物であるという点も大きな特徴です。超高真空が必要な際の初期粗引きや背圧を維持する為のバックポンプ等を始めとして広く使われてる物となっています。
そんなロータリーポンプですが、これには大きく分けて回転翼形油回転真空ポンプ、カム形油回転真空ポンプ、揺動ピストン形油回転真空ポンプという3つの形式の物が存在しています。
それぞれを説明していくと、1つ目の回転翼形油回転真空ポンプはシリンダーの内側に組み込まれているローターに取り付けられた2枚のベーンによってシリンダー内を3つの空間に分割していく物で、これによって分割された空間の気体はローターの回転とともに圧縮されて周期的に変化しながら排気弁より大気に排出される事になります。
2つ目のカム形油回転真空ポンプは円筒形ステータの中心に設置された偏芯ローターの一部がステータと接触しながら回転していく形式で、ローターが1回転する間にステータ・ローター間の隙間空間を排気する事によって真空排気を行っていく物です。 またこの形式のポンプは吸気側・排気側の気密性を高めるシールとして上下に動くベーンが設置されています。
そして3つ目は揺動ピストン形油回転真空ポンプで、これはガイド部を摺動するピストンが偏心ローターの回転によって上下首振り運動を行なっていく事で、ピストン及びシリンダで囲まれた空間の容積を変化させて気体輸送を行っていく物です。
これら3種類がロータリーポンプの形式になるのですが、その全てにおいて油がベアリング部の潤滑や冷却、ベーンとシリンダーの気密性を高めていく役割を果たす物となっています。